技術内容
自身の筋活動を使って相手の筋活動を制御したり、逆に制御されたりすることができる運動覚共有ウェアラブルデバイス”bioSync”を開発しています。デバイスを通して筋肉同士をペアリングすることで、他者と身体動作をリアルタイムに同期したり、あるいは筋活動を保存・再生することができます。これを実現するために、ウェアラブルなサイズで同じ電極を通して筋活動の計測と制御を同時に行うことができる生体電極システムを開発しました。 他者の身体的・感覚的特性を理解することは、リハビリテーションやスポーツトレーニングといった場面において円滑な意思疎通を行う上で重要です。しかしながら、こうした運動に伴う他者の身体内部の状態、すなわち筋活動を言葉にすることは難しく、また視覚的に理解することも困難です。本作品により、人の筋活動をより直接的に共有する環境を提供することで,人と人の新しいコミュニケーションチャンネルを開き、運動感覚を通した新たなコンテンツの制作と表現を支援します。
展示内容
本展示では実際に筋活動を共有し、運動覚を通した身体知情報のコミュニケーションを体験したり、パーキンソン疾患に見られる手の震えといった神経筋疾患を再現し、疾患の身体知(暗黙知)を体験しながら日用品のユーザビリティを評価したりすることができます。また、デバイスの筋制御により人の身体反応動作をより速くすることで、落下物を確実に掴めるようになるインスタレーションも展示予定です。
講評
機能的電気刺激を用いたヒューマンインタフェースは世界の各所で研究されつつあるが、本技術は機能的電気刺激を身体間コミュニケーションに用いる点に新規性があり、スポーツや伝統芸能など、言語では伝達が困難なスキルの伝達や、トレーニング、リハビリテーションなど、身体に関わる様々な分野への応用が期待できる。