実際に自身の表情は変化していないものの、疑似的に表情が変化したように情報を提示することで、それを認知させ無自覚的に感情を喚起させる鏡のようなシステムです。具体的には、自分は普通の表情をしているのに、鏡の中の自分が笑っていたり、悲しんでいるように見せることによって、鏡の中の自分の影響を受けて自身の感情状態に影響を与えます。認知科学の分野では、「悲しいから泣くのか、泣くから悲しいのか」という例のように、特定の身体反応が変化したように認知させることで、感情や行動を無意識的に喚起させられる現象が知られてます。そこで、あたかも身体が反応しているような人工的な刺激を生成・提示し、それが自己の身体反応の変化であると認知させることで、任意の感情を人工的に喚起できる手法を構築できると考えました。この鏡により、快・不快といった感情状態だけでなく、自身の身に着けている物の好き嫌いにまで影響を与えることができます。
審査委員講評
鏡を通じて、自身の表情は変化していないものの、無自覚的に感情を喚起させるというアイデアが素晴らしい。アイデアのみならず、鏡の中の自分の影響を受けて自身の感情状態に影響を与えるという、極めて感性的なストーリーを、実際に技術を使って具現化したところがユニークである。
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