近年注目されている機械を用いたファブリケーションに対して、申請者らは手作業と機械による作業を組み合わせた新しいものづくりの技術としてdePENdを開発しました。dePENdは、一般的な紙とペンを組み合わせ、触覚的なガイドを提示することで、日常的な手描きのスケッチを拡張・補助するシステムです。本システムはボールペンのペン先の強磁性に着目し、机内部の磁石の位置をXY ステージとコンピュータで制御することで、筆記時のペンを磁石で引きつけ、その動きを制御します。このシステムを用いることで、予めコンピュータに入力した図形や直線、円などを、ペンの動きに任せて紙に描画したり、その動きにゆるやかな制約を与えて、アレンジを楽しむなどの体験を提供できます。さらに、紙の上での位置を入力できるデジタルペンを用いることで、描画した絵をコンピュータに取り込み、描いた図形の複製や、遠隔地への転送などを行うことができます。身近な道具を介した触覚的なガイドにより、ユーザの描画スキルの向上や新たなコミュニケーションメディアとしての応用が期待されます。
審査委員講評
文房具として極めて身近な存在であるボールペンを使いコンピュータに記憶させた図形を紙の上で描画できるユニークなインターフェイスである。どこにでもあるボールペンと紙を使えることから応用性に広がりを感じる。
動画はこちら
© 山岡潤一,筧康明