日本国中を肉体的にも精神的にも文字通り震撼させたあの大震災からわずかに2年8か月。しかしいま、あれほどの体験が被災者や関係者以外の記憶から忘れ去られようとしている。
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気仙沼の第18共徳丸に続いて、南三陸町の防災対策庁舎もまもなく解体される。今年はこうした震災遺構の最後の姿を映像記録しておかなくてはならない重要な年でもある。撤去されたとたんにヒトの記憶は確実に失われていくからだ。
復興が遅々として進んでいないと感じるにせよ、あの膨大ながれきを更地になるまで片づけたヒトの力を思うにせよ、3年目を迎えた2013年の現実を、まさしくその時点で記録しておきたい。
今回は、3Dカメラを搭載したリモコンヘリによる超低空や3次元的な動きを援用して、ヘリの軌跡そのものがストーリーを描くといった、新しい3D映像表現へのチャレンジをおこなった。
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