リアルタイム3 次元心拍動シミュレータ
国立循環器病研究センター 研究所
東京大学大学院 情報理工学系研究科
滋賀医科大学 循環器内科
理化学研究所 基幹研究所
採択技術名 |
リアルタイム3次元心拍動シミュレータ |
---|---|
採択者名 |
国立循環器病研究センター 研究所 |
採択年 |
2012年 |
特別賞 |
Innovative Technologies 特別賞「Human」を受賞 |
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
概要
普通のイラストや動画では伝えにくい複雑な心臓の動きを、インタラクティブに3次元動画として再現できるシステムです。手軽にパソコンでも動かせるので、医師が患者さんの前で説明しながら操作することも可能です。
詳細
心臓は全身に血液を循環させるポンプの役割をする臓器です。心臓の構造はとても複雑で、その3次元的な動き(拍動)は簡単なイラストや動画で上手く説明できるものではありません。それを3次元の動画として分かりやすく表現するには、シミュレーションの技術が有用です。既存の力学モデルに基づく心臓シミュレータは、スーパーコンピュータによる大がかりな計算が必要であり、一般ユーザーがパソコンレベルで用いることはまず不可能でした。本システムではCG技法を応用して計算量の軽減を図り、心拍動を一般のノートパソコンでもリアルタイムに計算し、再現できるようにしました。現在、心臓モデルは約7000のパーツに分かれており、各パーツには予め標準的な拍動データが入っていますが、条件の変更によって心筋梗塞のような病気の心臓も比較的容易につくり出せます。さらに、拍動させたままの心臓を、ユーザーがマウスを操作して全方向から観察したり、マウスで切り取った心断面の動きを見たりすることも可能です。医師から患者さんへの説明用アプリケーションとしてだけでなく、医療スタッフ間のコミュニケーション支援、医学教育支援などへの応用も期待されます。
審査講評
CG技術と医療の融合という点で興味深い。また、汎用PCでリアルタイム性を実現したことを評価したい。医療分野でこういった可視化ツールが充実すれば、患者の安心につながる面があるだろうし、教育ツールとしても非常に有効であると考える。
心臓を見ることは実は難しい。この技術によってそれが見られるようになり、患者にその身体の状況がより伝わるようになる。力学シミュレーターではない新たな計算方式が利用されており、ユーザーインターフェースも優れており、映像も美しい。様々な他の臓器への応用が期待でき、一刻も早い実際の医療現場への活用が望まれる。